~奥吉野を巡る旅~
心しずめるため私が時々訪れる聖地、奈良。
今回の旅先は奥吉野。
神々の気配を感じたく… 行って参りました。
十津川、北山川流域にある奥吉野は、古くは大峰と呼ばれていました。
山々が連なる山岳地帯は熊野まで続きます。
大峰の道は、飛鳥時代の呪術師役小角(えんのおずぬ)にはじまる
修験者(山伏)によって、熊野から開かれました。
深山幽谷を修行の場とする修験道は、吉野で生まれた日本固有の
山岳信仰といわれています。
桜の名所として古くから名を馳せてきた吉野。
伝説上の人物とされる神武天皇は、宮崎の日向から奈良の橿原に都を遷し、
大和朝廷を開いて初代天皇に即位しました。
瀬戸内海から紀伊半島を大きく迂回し橿原へと向かう際、熊野から大和まで
続く吉野の険路を案内したのが八咫烏です。
このことは「神武東征」の物語として『古事記』や『日本書紀』に記されています。
新芽が膨らみはじめましたよ。
遠くから眺めると山肌が赤くなって見えます。
山が笑うとはこういうことを言うのでしょうか。
所々には神木の山桜が…切られずに。
きっと鳥たちが運んできてくれたのでしょうね。
この季節に青々と茂る木々、雑木林、そのほとんどは植林ですが、
深い緑がピンクをさらに引き立ててくれます。
桜だらけの桜も素敵ですが、私はどうしてか山桜に情がわく。
3月も後半に入りました。
奈良盆地の気候はまだ肌寒く、山ではほとんどの桜の木が裸の状態。
開花まであと少しのようです。
山道を歩いているときに一際目を引かれたのが、
サンシュユ、レンギョウ、ミモザなどの黄色い花々。
他にも様々な植物の姿が目に飛び込んできました・・・
水仙、雪の下、万年青、藪椿…
そういえば、
山の麓では紅白の梅の花が百花に魁て微笑んでいました。
春の訪れを感じた瞬間です。
私は写真を撮りながら旅するのはあまり得意ではなく…
いつもはほとんど撮ることはありません。
そんなことは忘れて、旅に没頭していますから…。
今回は特別ということで。
あなたを奥吉野へとご案内いたします。
映りがよくないものもありますが、どうぞごゆっくりとお楽しみください。
●才谷の吊り橋
吉野郡下市町才谷にある滝川に架かる吊り橋です。
滝川上流約9㎞のところに、滝百選に選ばれている「笹の滝」があります。
~奥吉野を巡る旅~
心しずめるため私が時々訪れる聖地、奈良。
今回の旅先は奥吉野。
神々の気配を感じたく… 行って参りました。
十津川、北山川流域にある奥吉野は、古くは大峰と
呼ばれていました。
山々が連なる山岳地帯は熊野まで続きます。
大峰の道は、飛鳥時代の呪術師役小角(えんのおずぬ)に
はじまる修験者(山伏)によって熊野から開かれました。
深山幽谷を修行の場とする修験道は、吉野で生まれた
日本固有の山岳信仰といわれています。
桜の名所として古くから名を馳せてきた吉野。
伝説上の人物とされる神武天皇は、宮崎の日向から
奈良の橿原に都を遷し、大和朝廷を開いて初代天皇に
即位しました。
瀬戸内海から紀伊半島を大きく迂回し橿原へと向かう際、
熊野から大和まで続く吉野の険路を案内したのが
八咫烏です。
このことは「神武東征」の物語として
『古事記』や『日本書紀』に記されています。
新芽が膨らみはじめましたよ。
遠くから眺めると山肌が赤くなって見えます。
山が笑うとはこういうことを言うのでしょうか。
所々には神木の山桜が…切られずに。きっと鳥たちが
運んできてくれたのでしょうね。
この季節に青々と茂る木々、雑木林…
そのほとんどは植林ですが、深い緑がピンクをさらに
引き立ててくれます。
桜だらけの桜も素敵ですが、
私はどうしてか山桜に情がわく。
3月も後半に入りました。
奈良盆地の気候はまだ肌寒く、山ではほとんどの桜の
木が裸の状態。
開花まであと少しのようです。
山道を歩いているときに一際目を引かれたのが、
サンシュユ、レンギョウ、ミモザなどの黄色い花々。
他にも様々な植物の姿が目に飛び込んできました。
水仙、雪の下、万年青、藪椿…
そういえば、
山の麓では紅白の梅の花が百花に魁て微笑んでいました。
春の訪れを感じた瞬間です。
私は写真を撮りながら旅するのはあまり得意ではなく…
いつもはほとんど撮ることはありません。
そんなことは忘れて、旅に没頭していますから…。
今回は特別ということで。
あなたを奥吉野へとご案内いたします。
映りがよくないものもありますが、
どうぞごゆっくりとお楽しみください。
●才谷の吊り橋
吉野郡下市町才谷にある滝川に架かる吊り橋です。
滝川上流約9㎞のところに、滝百選に選ばれている
「笹の滝」があります。
●笹の滝
吉野郡十津川村にある標高500m付近に位置する笹の滝へ。
落差は約32m。
十津川村は奈良県全体の約1/5を占める村で、その90%以上が森林です。
“日本一広い村”として知られています。
車一台がやっと通れるかどうかの細くうねる山道。
ガードレールもない崖が続きます。
名も無き小さな滝が至る所に。立ち止まっては、一息ついて…
先ほどまで小雨が降り続いていたため土が湿っています。いつ大きな岩石が
転がり落ちてきてもおかしくありません。
道路脇には倒木やがれきが散乱。
ふと横を見上げると、今にも滑り落ちてきそうな大木が…
この日は運よく通行可能。
ここから滝までの道のりはかなり足場が悪く、途中、大きな岩の間をくぐり
抜けなければならない場所も。
まだ姿は見えませんが、大きな音がきこえてきました。
ただならぬ気配。川の流れも強くなっていきます。
錆びた鎖を掴み岩肌に触れながら、一歩ずつ滝に近づきます。
ものすごい音と水しぶき。
しばらくここで心を休めることに………
●笹の滝
吉野郡十津川村にある標高500m付近に位置する
笹の滝へ。
落差は約32m。
十津川村は奈良県全体の約1/5を占める村で、
その90%以上が森林です。
“日本一広い村”として知られています。
車一台がやっと通れるかどうかの細くうねる山道。
ガードレールもない崖が続きます。
名も無き小さな滝が至る所に。
立ち止まっては、一息ついて…
先ほどまで小雨が降り続いていたため土が湿って
います。いつ大きな岩石が転がり落ちてきてもおか
しくありません。
道路脇には倒木やがれきが散乱。ふと横を見上げ
ると、今にも滑り落ちてきそうな大木が…
この日は運よく通行可能。
ここから滝までの道のりはかなり足場が悪く、途中、
大きな岩の間をくぐり抜けなければならない場所も。
まだ姿は見えませんが…
大きな音がきこえてきました。
ただならぬ気配。川の流れも強くなっていきます。
錆びた鎖を掴み岩肌に触れながら、一歩ずつ滝に
近づきます。
ものすごい音と水しぶき。
しばらくここで心を休めることに………
●玉置山
大峰山脈の南端に位置する標高1076mの霊山へ。
奈良県南部の山岳地帯は、日本でも有数の温暖多雨の気候です。
山頂近くに鎮座する玉置神社の社地は、永らく聖域として伐採が禁じられていたため、
杉や檜の巨木が多く生育しています。
また土壌にも恵まれ、樹齢3000年といわれる神代杉などを含む巨樹林が成立しました。
玉置神社の脇道をさらに奥へと進み山頂を目指します。
その途中、玉石社(たまいししゃ)が鎮座しています。
社殿はなく、3本の杉の巨木に護られた大きな黒い玉石そのものが御神体。
古代の信仰様式そのままに。
御神体の周りには白い小石が沢山敷き詰められています。
この玉石社を基にして建てられたのが玉置神社。
大峰修験道では玉石社を聖地と崇め、本殿に先んじて礼拝するのが習わしと
なっています。
空気が澄んでいます。
静寂に包まれ、道はさらに険しくなっていきます…
体が汗ばんできました。
あと少しで頂上です。
壮大な景色を楽しみ、色々なことを想う…
心が落ち着き…
行きとは異なる道で下山。
木々の雰囲気がガラリと変わりました。
陽の当たり具合によって、そこに自生する植物は種々様々。
頂上付近に生える木々ほど、その表情は繊細に。
山頂に根を生る檜葉の大木、威風堂々と佇んでいます。
どこを切り取っても“嘘”がない。
争うこともなく、それぞれがそれぞれの領域で、与えられた環境のなかで、
精一杯に生きている。
何十年、何百年経って、それを自然が教えてくれる。
“当たり前”を痛感。
すでに万物は中庸であり、私たちは常に中庸の中にいるのだと…
●玉置山
大峰山脈の南端に位置する標高1076mの霊山へ。
奈良県南部の山岳地帯は、日本でも有数の温暖多雨の
気候です。
山頂近くに鎮座する玉置神社の社地は、永らく聖域
として伐採が禁じられていたため、杉や檜の巨木が多く
生育しています。
また土壌にも恵まれ、樹齢3000年といわれる神代杉
などを含む巨樹林が成立しました。
玉置神社の脇道をさらに奥へと進み山頂を目指します。
その途中、玉石社(たまいししゃ)が鎮座しています。
社殿はなく、3本の杉の巨木に護られた大きな黒い玉石
そのものが御神体。
古代の信仰様式そのままに。
御神体の周りには白い小石が沢山敷き詰められています。
この玉石社を基にして建てられたのが玉置神社。
大峰修験道では玉石社を聖地と崇め、本殿に先んじて
礼拝するのが習わしとなっています。
空気が澄んでいます。
静寂に包まれ、道はさらに険しくなっていきます…
体が汗ばんできました。
あと少しで頂上です。
壮大な景色を楽しみ、色々なことを想う…
心が落ち着き…
行きとは異なる道で下山。
木々の雰囲気がガラリと変わりました。
陽の当たり具合によって、そこに自生する植物は
種々様々。
頂上付近に生える木々ほど、その表情は繊細に。
山頂に根を生る檜葉の大木、威風堂々と佇んで
います。
どこを切り取っても“嘘”がない。
争うこともなく、それぞれがそれぞれの領域で、
与えられた環境のなかで、精一杯に生きている。
何十年、何百年経って、それを自然が教えてくれる。
“当たり前”を痛感。
すでに万物は中庸であり、
私たちは常に中庸の中にいるのだと…
●瀞峡
奈良県、三重県、和歌山県にまたがる、吉野熊野国立公園内にある大峡谷。
巨岩、奇岩、断崖が続く美しい渓谷は、国の特別名勝に指定されています。
瀞峡は熊野川の支流である北山川渓谷の総称です。
上流から、奥瀞、上瀞、下瀞と呼ばれ、下瀞の上流は「瀞八丁」の名で知られて
います。
生憎この日は水かさが低く、川舟にもウォータージェット船にも乗ることはできま
せんでした。
何年か前に川舟に乗りましたが、澄んだ川面をゆっくりと漂うその心地、舟から
見える景色は荘厳でとても美しかったです。
岩石の上に佇む旅館「招仙閣」(「瀞ホテル」―現在は休館中)の脇の石段を降ると…
見えてきました…
長い年月をかけ繰り返される浸食。
雨や滝によって削られた岩の成分が川に流れ込む。
石灰を含んだ川の水は、光の反射で青く見えます。
青と言っても青緑、エメラルドグリーンに近い色。
石灰石には水を浄化する作用もあるそうです。まさしく自然の神秘。
舟が出ていなかったからでしょうか。
この日は人気も無く、一段と静けさが増していました。
川縁に坐り、時を忘れ、ただボーっとしていると…
次第に呼吸は落ち着いていき…
考える行為すら忘れてしまう…
ハッと気がつき…
帰る頃には、まるで仙人に招かれていたかのような、
そんな気持ちになっていました。
●瀞峡
奈良県、三重県、和歌山県にまたがる、
吉野熊野国立公園内にある大峡谷。
巨岩、奇岩、断崖が続く美しい渓谷は、
国の特別名勝に指定されています。
瀞峡は熊野川の支流である北山川渓谷の総称。
上流から、奥瀞、上瀞、下瀞と呼ばれ、下瀞の
上流は「瀞八丁」の名で知られています。
生憎この日は水かさが低く、川舟にもウォーター
ジェット船にも乗ることはできませんでした。
何年か前に川舟に乗りましたが、澄んだ川面を
ゆっくりと漂うその心地、舟から見える景色は荘厳で
とても美しかったです。
岩石の上に佇む旅館「招仙閣」
(「瀞ホテル」―現在は休館中)の脇の石段を降ると…
見えてきました…
長い年月をかけ繰り返される浸食。
雨や滝によって削られた岩の成分が川に
流れ込む。
石灰を含んだ川の水は、光の反射で青く見えます。
青と言っても青緑、エメラルドグリーンに近い色。
石灰石には水を浄化する作用もあるそうです。
まさしく自然の神秘。
舟が出ていなかったからでしょうか。
この日は人気も無く、一段と静けさが増して
いました。
川縁に坐り、時を忘れ、ただボーっとしていると…
次第に呼吸は落ち着いていき…
考える行為すら忘れてしまう…
ハッと気がつき…
帰る頃には、まるで仙人に招かれていたかのような、
そんな気持ちになっていました。
●賀名生の梅林
五條市西吉野町にある梅林に寄りました。
約30ha、約2万本もの梅が咲き誇っています。
南朝の里と呼ばれる賀名生(あのう)の地。
周辺には賀名生皇居跡や歴史民俗資料館があります。
歴史民俗資料館の隣にある旧家「堀家」の門には、“皇居”と書かれた
扁額が掲げられています。
1336年、足利尊氏に京を追われた後醍醐天皇は、西吉野に皇居を移す途中、
この賀名生にある堀家に一時滞在されました。
それ以来、賀名生は南朝のゆかり深い地に。
足利尊氏が擁立した光明天皇による京都朝廷(北朝)室町幕府と、
後醍醐天皇による吉野朝廷(南朝)が並立した南北朝時代。
同時代にふたりの天皇が存在するという動乱期、争いは56年間続きました。
そうした南朝の悲しい史話を背景に帯びた賀名生の梅。
山々を伝うように、ほのかな梅の甘い香りが漂ってきます。
少し離れた場所に行くと、圧倒的に白梅のほうが多いように感じました。
梅干しや梅酒など、食材として使用されるのは一般的に白梅ですから、
その収穫のためなのでしょうね。
まるで“桃源郷”を画にしたかのような… 幻想的な世界を堪能しました。
●賀名生の梅林
五條市西吉野町にある梅林に寄りました。
約30ha、約2万本もの梅が咲き誇っています。
南朝の里と呼ばれる賀名生(あのう)の地。
周辺には賀名生皇居跡や歴史民俗資料館があります。
歴史民俗資料館の隣にある旧家「堀家」の門には、
‟皇居”と書かれた扁額が掲げられています。
1336年、足利尊氏に京を追われた後醍醐天皇は、
西吉野に皇居を移す途中、この賀名生にある堀家に
一時滞在されました。
それ以来、賀名生は南朝のゆかり深い地に。
足利尊氏が擁立した光明天皇による京都朝廷(北朝)
室町幕府と、後醍醐天皇による吉野朝廷(南朝)が並立
した南北朝時代。
同時代にふたりの天皇が存在するという動乱期、
争いは56年間続きました。
そうした南朝の悲しい史話を背景に帯びた賀名生の梅。
山々を伝うように、
ほのかな梅の甘い香りが漂ってきます。
少し離れた場所に行くと、圧倒的に白梅のほうが多い
ように感じました。
梅干しや梅酒など、食材として使用されるのは一般的に
白梅ですから、その収穫のためなのでしょうね。
まるで“桃源郷”を画にしたかのような…
幻想的な世界を堪能しました。
写真は以上です。
この他にも各地を巡りました。とてもいい時間を過ごすことができました。
途切れることのない景色、美味しい空気、風、音、香り、真実の色、感触、
漂う気配…
どれ一つとっても、その場でしか味わえない特別な感覚。
この感覚を大切に、これからも芸道に精進してまいります。
また訪れたくなるその日まで…
最後までお読みいただきありがとうございました。
写真は以上です。
この他にも各地を巡りました。
とてもいい時間を過ごすことができました。
途切れることのない景色、美味しい空気、
風、音、香り、真実の色、感触、漂う気配…
どれ一つとっても、その場でしか味わえない
特別な感覚。
この感覚を大切に、
これからも芸道に精進してまいります。
また訪れたくなるその日まで…
最後までお読みいただきありがとうございました。
KANAME
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